会社を辞めて起業した場合、失業手当を受給する権利を最大3年間保留できるようにする、という法改正案が進もうとしています。
雇用保険に一定期間加入した人は、離職の翌日から1年間は求職活動中に失業手当を受け取れる権利がありますが、現在の受給可能期間は離職後1年間だけで、その間に起業すると全額を受け取れない、離職後すぐに起業したもののうまくいかなかった場合、受給可能期間が経過し、権利を失ってしまっていることが多いなど課題がありました。
そこで1年間に加え、手当を受け取る権利を3年間保留できる特例を設け、起業した会社の廃業後に就職活動に取り組むことを条件に日額上限で約8300円を支給しようというものです。
日本はスタートアップが育つ環境が海外に比べて整っておりません。例えば離職後に起業して失敗した場合、元々の勤め先や別の会社に再就職するといった流動性は高くなく、ITなど人手が不足する分野に転向するための「リスキリング(学び直し)」の支援も乏しいとされています。
日本の労働法制は原則、企業に雇われる労働者を前提に制度設計されております。事業を起こしたりフリーランスになったりすると公的な保護が手薄になり、雇用保険の対象からも外れます。「働き方は多様化しており、雇用保険に入れない人を生活保護の前段階で救済する第2の安全網を整備する時にきている」と指摘されていました。
終身雇用の慣行に沿った制度を一部見直すことで安全網を広げて起業などの多様な働き方を後押し、経済を活性化するスタートアップが生まれやすい環境を整えることが目的です。