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カテゴリー別アーカイブ: 会社登記

支店登記について

支店設置の登記のお話です。

支店とは、本店とは別に独自の営業活動を行い、
対外的な取引をなし得る場所のことです。
単なる倉庫では支店とは言えず、支店の登記をする必要がありません。

建設業の許可のお話ですが、営業所が他管轄にまたがる場合、
国土交通大臣の許可を得る必要があり、支店の登記が必要となります。

さてこの支店登記。支店所在地を管轄する法務局でも登記申請が必要でした。
正直面倒でした。
令和4年9月1日より、この支店所在地における登記制度が廃止されました。
インターネットの普及や登記簿のオンライン化によって支店所在地の登記所においても、本店の会社登記簿を容易に取得できるようになり、支店登記簿を設ける意義が薄れて仕組みを維持する必要性がなくなったことが廃止の理由とのことです。

廃止により、会社の支店は、本店所在地の登記所における会社登記簿のみによって管理されることになりました。
簡潔でいいですね。

なお、支店登記制度そのものが無くなったわけではありませんので、新たに支店を設けた場合や既存の支店を移転した場合には、従来通り、本店所在地の登記所に対して登記を申請する必要があり、支店設置なら6万円、支店移転なら3万円など所定の登録免許税の納付が必要です。

香港在住香港人の日本での会社設立手続き

香港在住の香港人の会社設立手続きです。

会社を設立する段取りとして、2段階あります。
一つ目は公証役場での定款認証手続き
二つ目は法務局への設立登記手続きです。

どちらの段階でも本人確認手続きが必須です。

公証役場では、通常免許証やマイナンバーカード、
印鑑証明書と実印で本人確認を行います。

外国人の場合、免許証などに代わるものとしてパスポート、
印鑑証明書に代わるものとして本国発行のAFFIDAVIT(宣誓供述書)
で本人確認を行います。
香港の場合、顔写真付き「香港永久性居民身分証」と
「声明」と呼ばれる宣誓供述書で本人確認が行われました。

実印を押印する書類には署名を頂く必要があります。
・定款認証用委任状
・就任承諾書
など。
これらの書類は郵送でのやり取りとなります。
郵便局で国際郵便「EMS」を利用すると、ストレスなく手配をすることができます。

株式会社、合同会社、社団法人、医療法人・・・

ひとくちに法人と言ってもいろいろあります。
株式会社、合同会社、社団法人、医療法人などなど

さてこれらの法人。何種類あるかご存じでしょうか。

なんと250種類ほどあります。

民法で、「法人は法律によらなければ成立しない」とあるので、
法人が成立するには、それぞれ根拠となる法律が必要です。

250種類を法律別に分けると、
①法人の設立根拠法に登記の手続きも併せて規定している法人 36種類
②組合等登記令に規定されている法人 87種類
③独立行政法人等登記令に規定されている法人 130種類
④弁護士会登記令に規定されている法人 2種類
⑤労働組合施行令に規定されている法人 1種類

私が特にお世話になっているのが、②の組合等登記令です。

今まで私が関与した法人は、10種類ぐらいが関の山でしょうか。
いやもうちょっとあるかな?

土曜日って休み?

会社が合併をする時、官報などに公告をする必要があります。

「左記会社は合併して甲は乙の権利義務全部を承継して存続し乙は解散することにいたし
ました。この合併に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から1ケ月以内にお申
し出下さい。」
みたいな感じです。
この公告が1月23日に掲載された場合、1ヶ月の公告期間は、1月24日から2月23日までとなり、異議がある場合は、2月23日までに申し出ないとならなくなります。

さて2月23日が日曜日だった場合、どうなるのでしょうか?
民法142条に規定があります。

民法142条
「期間の末日が祝祭日その他の休日に当たるとき、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。」

2月23日が日曜日だった場合、翌日の24日に期間が満了することになり、
24日までに異議申し出をすればいいことになります。

さて2月23日が土曜日だった場合はどうなるのでしょうか。
土曜日は「その他の休日に当たるとき」に該当するという考え方が有力です。
23日の土曜日、24日の日曜日を経て、25日の月曜日に期間が満了することになり、
25日までに異議申し出をすることになります。

合併登記関係の書類は、26日以降の日付で作成した方が確実ですね。

中国人の取締役就任登記~中国の公証書~

先日、永住資格を持つ中国の方の会社を設立しました。
日本に住所があるので、日本人と何ら変わりなく設立登記することができます。

さて、その会社に中国本土にいる友人(中国人)を役員として加えたい旨の
依頼がありました。

日本人の場合、就任承諾書に実印を押して印鑑証明書を添付します。
外国人の場合、就任承諾書にサインしてもらって、外国の公証役場から発行された
サイン証明を添付します。
実印=サイン
印鑑証明書=サイン証明書
って感じです。
サイン証明書には、いつ生まれの(生年月日)どこの(住所)誰が(氏名)
署名したと記載されます。
様式は各国ごとに異なりますが、住所・氏名・生年月日の記載が必須です。

さて本件の場合、中国浙江省の公証書を頂きました。
それによるとサイン証明と印鑑証明が合わさったものになっておりました。
中国のご友人に、就任承諾書にサインしてもらって印鑑も押印してもらいました。

さすが印鑑制度の先輩中国。
印鑑制度は残っているのですね。

会社の組織再編~株式移転による会社設立~

株式移転による会社設立登記が無事に完了しました。

株式移転とは、完全子会社となる会社の株主の保有する株式は新たに設立する完全親会社に移転し、完全子会社の株主は対価として、完全親会社の株式の交付を受けるというものです。

A社とB社があって、A社とB社を完全子会社とするC社を設立しようとします。
A社とB社の株は全てC社へ移転し、A社とB社の株主にC社の株が割り当てられる
という手続きです。

完全子会社となる会社には、株式会社でないといけないという条件があります。
今回、完全子会社となる会社に有限会社があったので、株式会社へ変更する登記も
必要となりました。

完全子会社となる会社は5社あり、各社役員も整理したので、書類への膨大な押印作業が大変な案件でもありました。

会社設立 in TOKYO

会社設立登記のご依頼を頂きました。
本店所在地は東京都新宿区。
管轄法務局は、東京法務局新宿出張所です。

一昔前なら、私の行動は、
兵庫から東京へ移動。
東京の公証役場で定款認証を受ける。
定款認証後、管轄法務局へ登記書類を持ちこむ。
せっかく東京へ来たのだから、おいしいランチを食べる。
せっかく東京へ来たのだから、東京タワーを見学。
(今なら東京スカイツリーですか)
ビールを飲みながら、東京から兵庫へ。
くたくたになりながら自宅へ。

現在の私の行動は、
自宅から事務所へ移動。
事務所からテレビ電話で東京の公証人と面談・定款認証
公証人から送られてくる電子の公文書を添付して、管轄法務局へオンライン申請。
妻の作ったお弁当を事務所で食べる。
いつも通りのお仕事。
自宅に帰ってビール。

ちょ~らくらくです。

むかしはむかしで良かったですけどね。

えっ!技術研究組合の登記?

数年来、神戸大学産官学連携本部関係の登記に関与させて頂いております。
先日、連携本部の方から、
「〇〇技術研究組合の代表理事の登記が更新されていないのでお願いします」
との依頼を受けました。

司法書士として登記のプロを自認しておりますが、
組合の登記の経験ははっきり言って少ないです。
まずは登記の根拠となる法文のチェックです。
びっくり棒人間

知りませんでした。
技術研究組合法」なる法律。
しかも昭和39年施行。
まあまあ古いやない

法律は全部で191条。
登記に関係ありそうな条文に目を通していきます。
総則:法人の特徴を知るために重要な条文です。
第13条:設立するには主務大臣の認可が必要
第17条:定款変更するには主務大臣の認可が必要
第21条:理事は3名以上 監事は1名以上
第22条:役員の住所・氏名に変更があった時は主務大臣に届け出
第25条:役員の任期は、理事は2年・監事は4年
ただし設立当初の役員は1年を超えてはならない
第31条:理事会で代表理事を選任する
などなど

本件法人は令和1年に設立されて、それ以後登記されていない法人なので、
第25条の、「設立当初の役員は1年を超えてはならない」という条文に
気を付ければ他の組合法人と変わりはなさそうです。

法人の登記簿や定款、議事録を頂戴し、登記に必要な押印書類の作成を進めていきます。印鑑

 

外国人の会社設立

政情不安がささやかれているスリランカですが、
そのスリランカの方が日本で会社を作りたいというご依頼を頂きました。

スリランカの方が日本で起業というと、カレー屋さんかなと思ったりしましたが、
依頼者はスリランカで車の売買の会社を起業されており、日本でも同じように
車の売買の会社を設立するということでした。

勝手な思い込みすいません・・・kao-a10.gif

外国人が出資して日本で起業する場合、問題となるのが銀行口座です。
日本で会社設立する際、資本金を代表取締役の個人口座に振り込む必要がありますが、
来日前の外国人は銀行口座を取得することができません。

ではどうするか?

一つは、日本人の協力者を得てその日本人に代表取締役になってもらい、海外から日本人協力者の個人口座へ資本金を送金して、会社設立登記手続きを終わらせてから、在留資格を取得するという方法です。手続きとしては簡単ですが、信用できる日本人協力者を見つけることができるかどうかが問題ですね。

もう一つは、会社設立登記が済んでいなくても、定款など事業開始が明らかになる資料があれば在留資格の申請をできるような改正がなされており、その制度を利用する方法です。
具体的には、
①日本の公証役場で、定款認証手続きを受ける
②その定款を添付して「経営・管理」の在留期間4カ月の在留資格を取得する。
③在留カードを取得し、銀行口座を開設する。
④銀行口座に資本金を払い込み、会社設立登記を済ませる
⑤在留期間更新許可申請を行う。

今回は日本人協力者がいるので、一つ目の方法で進めることにしました。

公証役場の定款認証手数料について

株式会社設立に伴う公証役場での定款認証手数料は、
資本金の額に関わらず一律5万円でしたが、令和4年より以下のとおり
改められました。

資本金が100万円未満        手数料3万円
資本金が100万円以上300万円未満 手数料4万円
資本金が300万円以上        手数料5万円

一般社団法人・財団法人は対象となりません。