司法書士望月賢治の「ナイスアプローチ!」│望月司法書士事務所

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外国人のローマ字表記が登記されることになりました~令和6年4月1日の法改正~

外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請の際には、
ローマ字氏名(氏名の表音をアルファベット表記したもの)を申請情報として
提供することになりました。

その際、ローマ字氏名を証する書類として、
①~③の条件を満たしたパスポートの写しを提供します。
①登記申請の受付の日において有効な旅券の写しであること。
②ローマ字氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが
含まれていること。
③旅券の写しに原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者等の署名
又は記名押印がされていること。

記載例
○○市○○町一丁目5番6号
ジョン・スミス(JOHN SMITH)

会社法人番号が登記されるようになりました~令和6年4月1日の法改正~

法人を所有権の登記名義人とする登記をした場合、
会社法人番号が登記されることになりました。

登記簿イメージ
所有者 東京都千代田区丸の内
株式会社ABC
会社法人等番号 0100-01-123456

国内連絡先の登記~R6.4.1の法改正~

海外居住者(自然人・法人)を所有権の登記名義人とする登記の申請の際には、
国内における連絡先となる者の氏名・住所等の国内連絡先事項を申請情報として
提供することになりました。

申請書記載例
権利者 ○○国○○州○○通り 法 務 太 郎
国内連絡先  兵庫県尼崎市〇〇町〇丁目〇〇番地  望月賢治

添付情報として、
①国内連絡先となる者の承諾情報
②承諾者の印鑑証明書
が必要となります。

この承諾者は、個人でも法人でもよく、不動産関係者や司法書士がなることが想定されています。

今回初めて国内連絡先を私として国内連絡先の登記をしました。
これからこのような登記が増えて、その度に私を国内連絡先とするのはいいとして、
私の住所が変わった場合、どうすればいいのか?という一抹の不安を抱えながら・・・

不動産の売却と社会保険などへの影響

専門分野ではないのですが、不動産の売却に絡んでよく受ける質問です。
それは不動産の売却と税金や社会保険料などへの影響です。

不動産の売却により利益を得た場合(買った時よりも高く売れた時)、
それは譲渡所得として、所得税が発生しますし、住民税も上がります。
逆に、不動産の売却により利益が出なかった場合、所得税も発生せず、
住民税が上がることもありません。

さて不動産を売却して、銀行預金残高が1500万円になりました。
売却益は出ていないので、所得税も発生せず、住民税も上がりません。
また介護保険料もあがりません。
ただ注意すべきは、高齢者の方の施設代です。
ある程度の預金残高があれば、施設代と食事代は上がります。
「ある程度の預金残高」は年金の受け取る額によって変わります。

施設代を押さえようと思えば、「介護保険負担限度額認定」を申請しなければなりません。この申請書に預金残高を記載する項目があります。
通帳の写しを出すことはありませんが、
・金融機関に照会することがある
・不正が発覚した場合は支給された額と最大2倍の加算金を返還してもらう
となっております。
収入が年金だけで、住民税非課税世帯であっても、預金残高が多くあれば施設代は
上がってしまうということです。

葬儀費用と相続放棄

故人の遺産から葬儀費用を支払うことは一般的ですが、
相続放棄する場合も認められるのでしょうか。

結論からいうと、相続放棄をする場合でも遺産から葬儀費用を出すことは認められています。

相続放棄する場合は、故人の遺産には一切手をつけてはいけないことになっているため、安易に故人の預金に手をつけることはおすすめしません。
しかしながら葬儀の費用として妥当なものだと判断される場合は、故人の遺産から葬儀費用を出したとしても相続放棄が認められるのです。

妥当な葬儀の費用ですが、葬儀費用の全国平均が135万円なので参考になります。
大会社の会長とかはもっと多くても妥当でしょうし、最近は家族葬も増えてきているので
もっと少ない金額しか認められないと思います。
常識範囲内の葬儀費用だったら大丈夫だと思います。
但し、香典返しや墓石の購入は認められないとされています。

相続を放棄することができる理由

どんな場合に相続放棄をすることができるのでしょうか。
借金が多い場合しか、相続を放棄することができないとお考えの方が
多いのではないでしょうか。

裁判所が用意している「相続放棄申述書」によると、放棄の理由として
以下の6つが用意されています。

1.被相続人から生前に贈与を受けている
2.生活が安定している
3.遺産が少ない
4.遺産を分散させたくない
5.債務超過のため
6.その他

債務超過のため放棄をされる方がやはり多いです。
3番4番は経験したことがないです。

生前に被相続人と何らかのトラブルがあって疎遠になっている、とか
両親が幼いころに離婚して長年会っていないとか様々な理由により、
被相続人の相続に関与したくないというご相談も数多くあります。
その場合は「その他」を選択して、事情を簡便に記載すれば大丈夫です。

遺留分の権利が強すぎると思う件

遺留分とは、被相続人の遺産のうち、兄弟姉妹を除く法定相続人に対して保障される、
最低限の遺産取得分のことです(民法1042条1項)。

この遺留分の権利。強すぎないかって思うんですよね。

私が遺言執行者として関わっている案件です。

Aさんがお亡くなりになりました。
相続財産は5000万円。
Aさんは遺言書を遺しており、財産全部をAさんの身の回りの世話をしてくれた
姪っ子3名に均等に遺贈するというものでした。

さて、Aさんには一人息子のBさんがいます。
Bさんは障がい者で、病院暮らしです。
結婚はしておらず、子供もおりません。(相続人がいない)
すでに高齢で社会復帰の可能性もありません。
Bさんが困らないよう、成年後見制度を利用して、金銭的な援助は十分に施してあります。

ここでAさんが亡くなりました。
遺言書があるとは言え、Bさんには遺留分を請求する権利があります。
その金額2500万円。
成年後見人から姪っ子に遺留分の請求がきました。

Bさんの権利は法律で認められた正当なものだというのは分かるのですが、
Aさんを長年面倒見てきたのは姪っ子達。
Bさんには十分な援助をしており、仮に相続したとしてもその財産を承継させる
相続人がいません。

今現在弁護士にお願いして訴訟となっております。

ただ言えるのは、誰も間違っていないということ。
Bさんの権利は正当だし、後見人の主張も正当。
姪っ子の言い分も正当。
ただただ遺留分の権利が強すぎるんですよね。

欧米では、遺留分を請求できるのは配偶者と未成年の子供だけで、
成人に達した子供の遺留分はないそうです。
日本もこれに倣って欲しいなと思います。

病院での本人確認のむずかしさ

本日売主様の意思確認・本人確認のため労災病院へ行ってきました。

幸いお元気そうで、確認自体に手間は取りませんでした。

難しいと感じたのは、病院とのやり取りです。
本人の体調の問題で担当医師の了解が必要。
これはよ~く分かります。
体調がよろしくない時に本人確認作業は避けたいところで、
不動産決済の日時を変更する方向で検討するでしょう。

二人同時は無理。
これが分からないんです。
今日で言うと、娘さんと私が病院へ赴きました。
娘さんと私が同時に、売主であるお父様と面談できないということなんです。
まず娘さんが入り、私が来ていることを伝えてもらう。
次に私が入り、確認作業を行う。
そして娘さんと交替して、お父様に別れを告げる。
今回のケースですと娘さんの誘導を避けるという意味では、お父さんと私での
二人きりで本人確認作業を行うのは意義のあることだと思います。

どうしてもダメなのは公正証書遺言を作成する場合。
公正証書遺言を作成する場合、どうしても公証人と証人二人の合計3人が
その場に居合わせないといけません。
二人以上同時に面会するのが無理というのなら公正証書の作成は難しいです。
事前の病院との打ち合わせがとても重要となってきます。

株式会社、合同会社、社団法人、医療法人・・・

ひとくちに法人と言ってもいろいろあります。
株式会社、合同会社、社団法人、医療法人などなど

さてこれらの法人。何種類あるかご存じでしょうか。

なんと250種類ほどあります。

民法で、「法人は法律によらなければ成立しない」とあるので、
法人が成立するには、それぞれ根拠となる法律が必要です。

250種類を法律別に分けると、
①法人の設立根拠法に登記の手続きも併せて規定している法人 36種類
②組合等登記令に規定されている法人 87種類
③独立行政法人等登記令に規定されている法人 130種類
④弁護士会登記令に規定されている法人 2種類
⑤労働組合施行令に規定されている法人 1種類

私が特にお世話になっているのが、②の組合等登記令です。

今まで私が関与した法人は、10種類ぐらいが関の山でしょうか。
いやもうちょっとあるかな?

会社法人番号が不動産の登記事項になりました

令和6年4月1日より、所有権の登記名義人が法人であるときの
所有権の登記の登記事項として、会社法人等番号が追加されることになりました。

また令和6年4月1日以前に不動産の名義を取得した法人も、申し出ることに
よって会社法人等番号を登記することができます。(下記イメージ図)

令和8年4月1日からは、会社法人等番号を検索キーとして、商業・法人登記システムの
情報に基づき、登記官が職権で法人の名称又は住所の変更の登記をすることが想定されて
いるとのことです。